てこぴかり(茅野愛衣&鈴木絵理) / ふたり少女

優しい歌声が穏やかな海の世界に溶け込む……TVアニメ『あまんちゅ!』エンディングテーマ!

 

『ARIA』の天野こずえ原作によるTVアニメ『あまんちゅ!』は、伊豆半島を舞台にスキューバダイビングを通じて友情を深めていく二人の少女=小日向光と大木双葉の姿を描く物語。総監督はアニメ『ARIA』シリーズ、『たまゆら』シリーズの佐藤順一、監督は『ハチミツとクローバー』『のだめカンタービレ』『青い花』などのカサヰケンイチ、そして音楽はGONTITIと豪華な顔ぶれ。

そしてエンディングテーマは、“てこ”こと大木双葉(CV:茅野愛衣)と“ぴかり”こと小日向光(CV:鈴木絵理)のユニット“てこぴかり”の「ふたり少女」。坂本真綾によるオープニングテーマ『Million Clouds』が雄大なサウンドであったのに対して、こちらは生楽器の穏やかな演奏によるもの。二人の心が優しく寄り添う、その温かさがじんわりと伝わってくるナンバーだ。

「ふたり少女」

作曲は、8月21日に30周年記念アルバム『リトルピアノ・プラス』をリリースした新居昭乃。佐藤順一作品では『ARIA The ORIGINATION』のエンディングテーマ「金の波 千の波」も印象深い。編曲は、NEW WAVEバンド“8 1/2”、野宮真貴もメンバーだった“ポータブル・ロック”の鈴木智文で、作曲を手がけた清浦夏実のデビューシングル「風さがし」(TVアニメ『スケッチブック ~full color’s~』オープニングテーマ)のようなアコースティックなアレンジを楽曲に加えている。作詞は、千菅春香のアルバム『TRY!』にも詞を提供している三重野 瞳によるもので、“蒼”という言葉で物語の世界を、主人公のふたりを結ぶ深い友情を描き出している。

ハイレゾでは楽器それぞれの存在感が引き立っており、音のアクセントもやや強く感じられる。それは鋭さや煌びやさがといった一部分の要素が突出したものではなく、音色自体が前に出てきているといった分離感によるもの。よりまろやかに濃く味付けしたような個々の音を感じつつも、全体的にはお互いの響きが交わり合う一体感のある仕上がりで、そのバランスのよさも伝わってくる。

渡辺 等のふくよかなウッドベースや石成正人の爽やかなアコースティックギター、坂本真綾の楽曲では「君の好きな人」を作曲した(のちに自身の2ndアルバム『Piano Songbook』でもセルフカヴァーしている)扇谷研人の柔らかなフェンダー・ローズなど、坂本真綾のアルバムやライヴでもおなじみのメンバーによる演奏が空間を満たすように奏でられ、生楽器の質感がそこに程よい湿度といった空気感を与えている。
70年代のニューミュージックに通ずるサウンドのテイストは、佐藤順一監督作品『たまゆら』の主題歌を集めた『「たまゆら」主題歌コレクション~卒業写真~』も思い出させるが、そのハイレゾ版同様に「ふたり少女」のハイレゾ版もまたアナログなハイファイ感といった、ラジオやレコードのような温かみのある音の感触だ。

穏やかに語りかけるような大木双葉役の茅野愛衣の歌声は、深みのある甘い低音部も豊かに描かれ、小日向光役の鈴木絵理は爛漫さを表わす明るい歌声が清々しく、抑揚もスムーズに伝わってくる。対照的な個性をもつふたり、光と双葉の歌声が重なるパートでは、高音と低音の2声によるハーモニーが美しく、“素敵な二人になろう 一緒にいよう”の言葉には、大切な願いや幸せをそっと愛おしむような優しい雰囲気が漂う。

「Aquamarine」

『ARIA』シリーズでは「ウンディーネ」などのオープニングテーマを手がけ、『たまゆら』では松任谷由実の「A HAPPY NEW YEAR」をアレンジしている窪田ミナによる作曲・編曲。挿入歌といっても歌詞は無く、窪田ミナらしいアンビエントな音響室内楽サウンドに、“Mistera Feo”の歌声が楽器のように響きわたっている。“Mistera Feo(ミステラ・フェオ)”はエスペラント語で「神秘的な妖精」を意味するグループ名をもつ少女クワイヤー・ユニット。窪田ミナや野崎美波らが参加したデビューアルバム『眠りの森の少女』は、CDでのリリースのみならずDSDフォーマットとしての配信も行なわれている。窪田ミナが手がけたオープニングナンバー「Mistera Songo en Arbaro」は、「Aquamarine」「Turquoise」の世界観とも通じるものがあり、アルバム全体としての完成度も極めて高い。賛美歌といった教会音楽の雰囲気も感じられるこの作品は、NEW AGEミュージックやアンビエント・サウンドを好むリスナーから高い評価を受けている。

柔らかな低音のリズムが深く沈み込み、クジラの鳴き声を思わせる高音が静かによぎる幽玄の世界。窪田ミナが演奏するピアノのきらめく音色と杉野 裕ストリングスによる流れるような弦楽奏の旋律が淡い電子音と溶け合い、幻想的なアンサンブルを奏でている。
ハイレゾでは情報量や解像感が定位や奥行き、また残響などの要素に深く影響しており、あたかも光が差し込む水の中でゆらめている海面を見上げているような、不思議な浮遊感にも似た感覚を味わえる透明度の高い音空間を作り上げている。

幾重にも重なったコーラスは高域の倍音も豊かに、シルクのようななめらかさで伝わってくる。その曇りのない澄み切った声質はイノセンスと呼ぶにふさわしいもので、聖歌のような安らかな雰囲気を楽曲にもたらしている。音の海を優雅に泳ぐような繊細なニュアンスも感じ取られ、清冽で美しい声に心地好く包み込まれる、夢心地なサウンドがゆっくりと広がっている。

 

VTCL-35237てこぴかり(茅野愛衣&鈴木絵理)
ふたり少女

FlyingDog
2016.08.24

FLAC・WAV 48kHz/24bit

購入はこちら

e-onkyo music
groovers
mora

 収録曲

 1.ふたり少女 <EDテーマ>/歌:てこぴかり
   作詞:三重野 瞳/作曲:新居昭乃/編曲:鈴木智文

 2.Aquamarine <挿入歌>/歌・演奏:窪田ミナ feat. Mistera Feo
   作曲・編曲:窪田ミナ

 3.Turquoise <挿入歌>/歌・演奏:窪田ミナ feat. Mistera Feo
   作曲・編曲:窪田ミナ