TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND / Elektronische Musik für ILLYA 【DIGITAL EDITION】

テクノ、ブレイクビーツ、音響、エレクトロニカ、トイポップ、室内楽、現代音楽……様々な手法で物語世界を描き出す、TECHNOBOYSならではのサウンドトラック!

 

2016年7月より放送されたTVアニメ『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!』。『プリズマ☆イリヤ』シリーズとしては第4期となる今作の音楽を担当するのは、テクノユニット、“TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND”。『ウィッチクラフトワークス』『トリニティセブン』『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』『紅殻のパンドラ』などの作品と同じく、今作でも劇伴とエンディングテーマの両方を手がけている。CDでは2枚組となるこのサウンドトラックの配信版『Elektronische Musik für ILLYA 【DIGITAL EDITION】』には、劇伴とTVサイズのオープニング&エンディングテーマ及びエンディングテーマ「WHIMSICAL WAYWARD WISH」のリミックス、そして第9話のスペシャル・エンディングテーマとなったChouChoの「cuddle」など、全42曲が収録されている。

囚われの身となった美遊を救うべくエインズワース家との戦いに挑むイリヤの姿を描く今作は、おなじみのコメディ要素を織り込みつつも、滅亡の危機に瀕した平行世界のシリアスな雰囲気も色濃く漂っている。音楽はTECHNOBOYSならではの空間的な音処理を加えつつ、躍動的なビートを基調としたトラックや生楽器と電子音による室内楽曲、ファニーなトイポップなどを含んだヴァラティ豊かなサウンドで、アクションシーンも増した今作の、舞台となる真冬の冬木市の風景から己の弱さとも戦うイリヤの葛藤する心模様までを描き出している。

このアルバムの1曲目となる今作のテーマとなる「Ein Thema Prisma Illya 3rei!!」は、重低音のビートを間に挟みつつピアノと木琴が呼応し合い、ストリングスが次第にテンションを高める前半から、清々しく解き放たれるクライマックスへの展開も鮮やかだ。
打ち鳴らされる鐘の音が京劇を思い出させるオリエンタルなサウンドの「Mābō Nudelsuppe」は、タイトルからもわかる通り第2話「邂逅と再会」で登場した激辛麻婆ラーメンのこと。ちなみに放送時には辛うまラーメンの店として知られる「蒙古タンメン中本」にてコラボメニュー「プリズマ☆麻婆ラーメン」が限定で販売されていた。

どんよりと垂れ込めた鈍色の雲のような分厚いシンセの層に不穏に刻まれるミニマル・フレーズがいびつなノイズとともに「平行世界」を描く「Parallelwelt」
恐怖映画のように迫り来る旋律を奏でるアタックの強いヴァイオリンの音色と重々しい打楽器が鳴り響く「AINSWORTH」
ドライな質感のブレイクビーツと懐かしいシンセのメロディが孤独な少女の姿をセンチメンタルに映し出す「Miyu」
ドラマチックなオーケストラサウンドが優しく「再会」のシーンを照らし出す「Wiedersehen」
フュージョン・サウンドにグロッケンやシンセがエレクトロニカ的に舞い踊る「Nachtgedanken eines Zweiflers」

静かに広がるストリングスシンセと軽やかなリズムが安らぎを誘う「Freundschaft」
揺れ動く感情を凝縮して捉えたような存在感のあるシンセの音色が宙を舞う「Angst」
クラスターなどのジャーマン・エレクトロ風のちょっと奇妙なナンバー「gewöhnlich」
80年代のテクノポップを感じさせる雰囲気とまろやかな音色が心地好い「Heimweh」
アーシーなギターの音色が和やかな電子音に覆いかぶさり、映画音楽的なナンバー「Badezeit」
エインズワース家の当主、ダリウス・エインズワースの並々ならぬ怪しさ、底知れぬ闇の気質を弦楽奏で表わした「DARIUS AINSWORTH」
エインズワース家の娘である“エリカ・エインズワース”のキャラクターが表われた、とっ散らかったトイポップ・テクノ「Erika (äußerlich)」
「Erika (äußerlich)」に対してエリカの内面性を不協和の電子音で抉り出した「Erika (innerlich)」

おもちゃのような音色で奏でられる可愛らしい「Illyasviel Puppe」は、第7話「人形とぬいぐるみ」と8話「人と道具」にてクマのぬいぐるみに意識を移し替えて活躍したイリヤの姿を、ドイツ人らしくマーチによって奏でている。

『プリズマ☆イリヤ』1期のChouChoによる挿入歌(作曲は石川智久)の「kagami」のメロディを織り込んだ「Spiegel Kuschelnde」は、第9話「イリヤの選択」の終盤で流れ始めた。やや物憂げで悲しみを帯びた室内楽の響きが、希望を見出したように少しづつ表情を変え始め、やがては光が満ち溢れる明るい旋律へと広がり、ChouChoが歌う「cuddle」と結びつく。ここではインストゥルメンタルの楽曲が「cuddle」(89秒ヴァージョン)にそのまま繋がっており、9話のドラマチックなエンディングを再現するように収録されている。

お人形ヴァージョンによるテーマ曲「Ein Thema Prisma Illya 3rei!!(Puppe Ver.)」は、星々が弾け飛んでいるようなキラキラとしたサウンドに、TECHNOBOYSらしいエレクトリックなシモンズドラムが響き渡るコズミックなテクノポップ
クラフトワークのレコードをピッチを上げて再生したような電子音の「口喧嘩」=「Streit」
「あきらめない」というイリヤの強い意思を躍動的なシーケンスとビートに託した「Will nicht aufgeben」
ティンパニの勇猛な響きが激化する戦闘の模様を伝える「Duell」

繰り返される弦楽のフレーズと擦れる響きで、感情が何処か欠落しているようなエインズワース家のドールズ、アンジェリカを描く「ANGELICA」
現代音楽のミニマリズムとコーラスによって「聖杯」のイメージを喚起させる「Der Heiligen Gral」
ダイナミックなサウンドが緩急を織り交ぜて昂揚感を促す「Alles Übel dieser Welt」
劇伴を締めくくるのはピアノのクリスタルな音色も鮮やかな予告の使用曲「Ankündigung」

「WHIMSCAL WAYWARD WISH REMIX」は、『ウィッチクラフトワークス』『トリニティセブン』『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』などの作品同様にTECHNOBOYS自らによるエンディングテーマのリミックス曲。リズムを強調しつつも空間を引き伸ばしたようなアンニュイな浮遊感に包まれたトラックと、ヴォーカルにかかったエフェクトやディレイが閉塞的な世界の様相を表わしているようだ。原曲と幸田夢波の歌の表情を聴き比べるのも面白い。

前述した第9話のスペシャルエンディングテーマ「cuddle」のフル・ヴァージョンは、ChouChoのヴォーカルがそっと見守るように二人のシーンを優しく照らし出す。ゆっくりと開放感へと導くストリングスの優美な旋律も、温かみのあるピアノの音色も、その歌声に「寄り添って」奏でられている。

ハイレゾではアトモスフェリックな音空間に立体的な音像が立ち並ぶ。「Konflikt」のあたかもルビーやサファイアのように左右に飛び回るアシッドな電子音や、90年代後半のサイバーパンク映像を思い出させる「Druck」のダンサブルなメタリックビートがいっそう刺激的に鳴り響く。ティンパニの勇猛さが激化する戦闘の模様を伝える「Duell」や壮大なストリングスに高速ブレイクビーツが絡み合う「Aneinander vorbeigehen」も迫力を増している。
それぞれの音を浮き彫りにする分離感が楽曲のアクセントとなる音に強く作用しており、「Drohender Feind」では波打つようなシンセに重なる鐘の音が、今後その謎が明らかになるであろう「田中さん」のテーマ「TANAKA」では、グロッケンシュピールや808のハンドクラップの鮮明さが印象に残る。
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND作品のドラマーとしてもおなじみのよしうらけんじによる快活なパーカッションと電子音が入り交じる「Zug um Zug」(「電車ごっこ」エインズワース家に潜入する際に使用した姿を消す宝具のこと)や、疾走感のあるドラムンベース・ナンバー「Flucht」におけるマシーン+人力ビートもさらに躍動的に、ヨーロピアン風情の哀愁を帯びた「Beatrice」では親指ピアノのような音のリアルな質感が伝わってくる。
ピアノが柔らかに奏でられる「SEELE」や颯爽としたストリングスによる「Gerechtigkeit」など、エレクロトニック・サウンドと重なる生楽器から溢れる優雅な響きも魅力的だ。

現代音楽のミニマルな要素を使用することも多いTECHNOBOYSだが、今回のサウンドトラックではそのリズムが世界線が交差する「平行世界」をイメージさせることに大きく寄与しており、また物語が進むにつれ露わになる心の迷いや感情の起伏をも深く描写している。2種類の「Erika」でも示しているように、「外」と「内」とを音によって表わすこれらの楽曲において、時には対立するように配置されている電子音と生楽器の関係性、またそれぞれの楽器が担う役割を考えながら聴き込むのも面白い。作品の世界観を反映した楽曲が並びながらもTECHNOBOYSのサウンドトラックらしく、彼らのオリジナル・アルバムのようにも楽しむことができる、充実した内容に仕上がっている。

 

※TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDとサウンドトラックのプロデューサー・佐藤純之介氏とのインタビュー
教えて純之介さん!Lantis音楽プロデューサー佐藤純之介がズバリ回答!!「マスタリングって何ですか?」Vol.1の記事はこちら
TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDがこのサウンドトラックについて語っています。

laca9473_4TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
Elektronische Musik für ILLYA 【DIGITAL EDITION】

Lantis
2016.10.12

FLAC・WAV 96kHz/24bit WAV 96kHz/32bit

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 収録曲

 1.Ein Thema Prisma Illya 3rei!!
   作曲・編曲:石川智久

 2.SEELE
   作曲・編曲:石川智久

 3.Zug um Zug
   作曲:よしうらけんじ 編曲:石川智久

 4.TANAKA
   作曲:よしうらけんじ 編曲:よしうらけんじ・石川智久

 5.Beatrice
   作曲・編曲:松井洋平

 6.Mābō Nudelsuppe
   作曲・編曲:松井洋平

 7.Gil
   作曲:加藤達也 編曲:フジムラトヲル

 8.Drohender Feind
   作曲・編曲:松井洋平

 9.Parallelwelt
   作曲・編曲:フジムラトヲル

10.Druck
   作曲・編曲:フジムラトヲル

11.AINSWORTH
   作曲:よしうらけんじ 編曲:よしうらけんじ・石川智久

12.Miyu
   作曲:加藤達也 編曲:フジムラトヲル

13.Flucht
   作曲・編曲:フジムラトヲル

14.Hoffnung
   作曲・編曲:石川智久

15.Wiedersehen
   作曲・編曲:石川智久

16.Nachtgedanken eines Zweiflers
   作曲:加藤達也 編曲:松井洋平

17.Freundschaft
   作曲・編曲:松井洋平

18.Gerechtigkeit
   作曲・編曲:石川智久

19.Pause
   作曲・編曲:フジムラトヲル

20.Angst
   作曲・編曲:フジムラトヲル

21.gewöhnlich
   作曲・編曲:フジムラトヲル

22.Heimweh
   作曲・編曲:フジムラトヲル

23.Badezeit
   作曲・編曲:松井洋平

24.Erika (äußerlich)
   作曲・編曲:松井洋平・フジムラトヲル

25.Illyasviel Puppe
   作曲:石川智久 編曲:松井洋平

26.DARIUS AINSWORTH
   作曲・編曲:石川智久

27.Erika (innerlich)
   作曲・編曲:松井洋平

28.Spiegel Kuschelnde
   作詞:松井洋平 作曲・編曲:石川智久

29.Ein Thema Prisma Illya 3rei!!(Puppe Ver.)
   作曲:石川智久 編曲:フジムラトヲル

30.Streit
   作曲・編曲:フジムラトヲル

31.Konflikt
   作曲・編曲:フジムラトヲル

32.Will nicht aufgeben
   作曲・編曲:松井洋平

33.Duell
   作曲・編曲:フジムラトヲル・石川智久

34.Aneinander vorbeigehen
   作曲・編曲:石川智久

35.ANGELICA
   作曲・編曲:石川智久

36.Der Heiligen Gral
   作曲・編曲:石川智久

37.JULIAN AINSWORTH
   作曲・編曲:石川智久

38.Alles Übel dieser Welt
   作曲・編曲:石川智久・谷島シュン

39.Der Gralkrieg
   作曲・編曲:石川智久

40.Ankündigung
   作曲・編曲:石川智久

41.WHIMSCAL WAYWARD WISH REMIX
   歌:幸田夢波
   作詞・作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND

42.cuddle
   歌・ChouCho
   
作詞:松井洋平 作曲・編曲:石川智久