Kalafina / Winter Acoustic “Kalafina with Strings”

2016.11.16

待望のウインターアルバムがリリース! ストリングスとピアノによるアコースティックサウンドに、Kalafinaのヴォーカルが美しく浮かぶ、極上の音楽 !!

 

2016年にデビュ-8周年を迎えたKalafina。1月にはライヴアルバム『Kalafina 8th Anniversary Special products The Live Album「Kalafina LIVE TOUR 2014」at 東京国際フォーラム ホールA』、6月には映像作品『Kalafina LIVE TOUR 2015~2016 “far on the water” Special FINAL at 東京国際フォーラム ホールA』、8月にはTVアニメ『アルスラーン戦記 風塵乱舞』エンディングテーマとなったシングル『blaze』をリリース。また10月からリリースが開始された西尾維新原作のOVA『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』には、新曲「メルヒェン」がエンディングテーマとして使用されている。そんな2016年、最後のリリースとなるであろう作品がこちらの『Winter Acoustic “Kalafina with Strings”』。

“Kalafina with Strings”とは、2012年よりクリスマスの時期に開催されている、ストリングス・カルテットとピアノのみの編成で構成されたライヴ・シリーズのこと(2014年には「聖なる夜の贈り物 2014 in 赤レンガ ~Kalafina Premium Acoustic LIVE~」として、ピアノ、ギター、ベース、パーカッションの編成で出演)。2016年4月には特別版として「”Kalafina with Strings” Spring Premium LIVE 2016」も開催された。2016年12月も全国9都市11公演が予定されている。

プレミアム・ライヴとして高い評判を呼んでいる“Kalafina with Strings”。このライヴ・シリーズでも披露されている楽曲の数々をライヴと同じ編成で、今回はスタジオにて録音したアルバムが『Winter Acoustic “Kalafina with Strings”』。「Jingle Bell」「we wish you a merry Christmas」「もろびとこぞりて」などおなじみのクリスマス・ソングや、「sprinter」「fairytale」「君の銀の庭」「dolce」「ring your bell」のストリングス・ヴァージョンや、「アレルヤ」のピアノ・ヴァージョン、また新曲「やさしいうた」など合わせて13曲が収められている。

 

「Jingle Bell」は、よく伸びるハーモニーから始まった後、リズミカルなピアノとともに各ソロがスタート。3人のここでは特にうれしそうな声もまた魅力的だ。
Kalafinaならではのヴォーカルテクニックが冴え渡り、正統派なカヴァーなれど新鮮に感じられる「we wish you a merry Christmas」
「もろびとこぞりて」では、1番はアカペラ、2番からは躍動的なストリングスが入ってきてワクワクさせるようなクリスマスの雰囲気を演出。折り重なる“主は来ませり”のヴォーカルとアレンジでこちらも定番曲としてのイメージを新たにする感動が味わえる。

 

さてここで「Jingle Bell」「we wish you a merry Christmas」「もろびとこぞりて」以外のクリスマス・ソングについて簡単に触れておこう。

「from heaven above」は、16世紀のドイツで起こった宗教改革の中心人物であるマルティン・ルターが作詞・作曲をしたクリスマスのコラール=讃美歌(後にヨハン・ゼバスティアン・バッハ=所謂“バッハ”がこの旋律を元に編曲をしている)で、日本では「天のかなたから」などのタイトルで歌われている。ドイツ語の原題は「Vom Himmel hoch, da komm ich her」、英題は「From Heaven Above to Earth I Come」。小学生や中学生の頃はドイツで過ごし、合唱部に所属していた梶浦由記らしい選曲だ。ここでは第1節が歌われているが、最後の歌詞が一般に流布されているものとは異なっているので、梶浦由記が歌っていた地域ではこのように歌われていたのか、あるいはその部分のみ歌詞を書きかえたのかもしれない。2014年の「~Kalafina Premium Acoustic LIVE~」にて披露されている。

“Kalafina with Strings”のライブは、ストリングス・カルテットとピアノのみの編成で演奏されており、このアルバムも同様に構成されているが、オープニング曲となる「from heaven above」では少し音響的なアレンジが加わっている。イントロでは、くぐもったような低域のドローンと薄く広がる中高域のシンセの音色が深く立ち込める霧を思わせ、そこにピアノと声による“光”が差し込んでくるような、神秘的な雰囲気を漂わせている。音の広がりに深く沈んでいく、といった不思議な感覚だ。繊細なタッチで奏でられるピアノの透き通るような音色は、ハロルド・バッドやブライアン・イーノのアンビエント諸作品を思い出させる。

「In dulci jubilo」は、日本では賛美歌第102番「もろびと声あげ」の名前で知られている讃美歌。“Kalafina with Strings”では2013年や2015年の大阪公演にて歌われている。
1975年11月にはヨハン・ゼバスティアン・バッハによるアレンジを元に、マイク・オールドフィールドが「In Dulci Jubilo」をシングルとしてリリース。チャートの4位まで登る大ヒットを記録した。マイク・オールドフィールドをフェイヴァリットに挙げている梶浦由記だけに、アイリッシュの血を引くオールドフィールドによる牧歌的な笛の音が耳に残るこのヴァージョンも聴いているに違いない。

もっとも『Winter Acoustic “Kalafina with Strings”』に収録されているのは実にコーラルらしいアレンジによるもの。3声のハーモニーが静謐な空間に弧を描くような声のみの序盤から途中でストリングスが加わり、懐かしい叙情的なメロディが奏でられる。厳かな夜、暖炉に薪をくべるような、じんわりとした暖かい気持ちにさせてくれるアレンジだ。

「have yourself a merry little Christmas」は、1944年に公開されたジュディ・ガーランド(『オズの魔法使』(1939)、『スタア誕生』(1954)主演。アメリカの国民的女優)主演のアメリカ映画『若草の頃(MEET ME IN ST.LOUIS)』の挿入歌。後にフランク・シナトラもカヴァーしており、クリスマスのスタンダードナンバーとして広く親しまれている(山下達郎も1993年のアルバム『SEASON’S GREETINGS』にてカヴァー)。Kalafinaのクリスマス・ライヴではラストに歌われることが多い曲だ。

さて「have yourself a merry little Christmas」は2回歌詞が書き変わっている。最初は映画の撮影中に幼い妹に対して姉役のジュディが歌うにしては重い内容ではないか?ということで歌詞の一部を変更。次はフランク・シナトラがレコーディングの際にもっとポジティヴなイメージになるようにと要求し、歌詞が書き直されている。現在、カヴァーされているものの多くがシナトラ・ヴァージョンの歌詞を使用しているが、『Winter Acoustic “Kalafina with Strings”』では山下達郎と同じく映画で歌われた原曲の歌詞を踏襲している。ひっそりとした聖夜に慈愛に満ちた声が響く、しっとりとした歌唱が印象的だ。

 

クリスマス曲だけでなくKalafina自身の楽曲からもまた新しい息吹が伝わってくる。

「sprinter~with strings ver.~」
原曲にもある熱い想いに急かされているかのような疾走感をストリングスが深々と奏で出し、歌詞にあるように心の叫びが奥底から浮かび上がってくる、ヴォーカルの感情が非常に露わとなるアレンジとなっている。同じ風景なのにいつもとは違って見えるような感覚と言えばいいだろうか。“君のいない道を 僕は僕の為 行くんだ……”の絞り出すようなHikaruの歌声があまりにも切なく響く。

「君の銀の庭~with strings ver.~」
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編] 叛逆の物語』の主題歌となった原曲では、ヴォーカルのやや誇張気味のアクセントが歌詞の背景に隠された世界を想像させたが、こちらはそんな『まど☆マギ』的な要素は抜け落ちており、軽やかなメロディに3人の歌声が清々しく弾む仕上がりとなっている。

「ring your bell~with strings ver.~」
TVアニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』2ndシーズンのエンディングテーマとなった人気曲だが、このヴァージョンでは、音数を少なく装飾をシンプルにしても原曲の持つ爽やかさが失われない、メロディの強さが光る。この曲の後半では“眩しさはきっと消えないから”の後、音が波を引くように遠ざかりまたサビへと向かい出して鳴り始める部分があるが、今回のヴァージョンでは一度音が鳴り止んでから、再び声から始まる展開となっており、感動がなお深まる。Wakanaの高音域とKeikoの低音域が鮮やかなコントラストとして現れ重なり合う、サビ部分も美しい。

「アレルヤ~piano ver.~」
ピアノのみのアレンジながらこちらも「ring your bell~with strings ver.~」同様、原曲の明るい光に満ちた雰囲気をそのまま保っている。Keikoがメインのヴォーカルを担当するこの曲で、主にコーラスを務めるHikaruが言葉の意味をかみしめるように一人で歌う、ラストの“小さな命を ふりしぼって ふりしぼって ふりしぼって”もいっそうの重みを感じさせる。

そして新曲となる「やさしいうた」
ライヴ前夜からライヴ当日、やがてライヴが終わり、誰もいないステージで明日の“うた”への祈りを捧げる姿が思い浮かぶような歌詞。想いをつなぐ音楽を奏で、ステージから真心の歌を届ける、まるでKalafinaそのものを描いたようなこのうたは、ライヴの終わりに歌われたならば感動もひとしお増すことだろう。それぞれの“やさしい”気持ちが伝わってくる、ごく自然な素直な歌声で歌われており、寄り添うような室内楽とともに温かさに包まれるような柔らかな空気感が心地好い。ラストのロングトーンの美しさも絶品。

 

生楽器とそれとの組み合わせによる女性ヴォーカルにかけては優れた再現性を誇るハイレゾならではの、豊穣な音の響きを味わうことができる『Winter Acoustic “Kalafina with Strings”』。今野 均ストリングスによる弦楽奏の美しい旋律が隅々まで響き渡り、歌声は空間を濃密に満たす。楽曲のアレンジも相まって声の存在感が際立っており、それぞれの曲でヴォーカルにかかっているリヴァーブの違いやヴォーカルの立ち位置も明瞭に把握できる。ハイレゾとの相性も抜群なKalafinaの作品の中でも今作は、とりわけハイレゾにふさわしいアルバムと言えよう。

今作ではストリングス・アレンジによる歌唱の変化だけでなく、「sprinter」「fairytale」など初期の楽曲のヴォーカルが、ライヴを重ねることによってどのように変わってきたのか?その歌の深化、あるいは現在進行系のKalafinaの姿といったものも確認することができる。さらに磨き上げられた3人のヴォーカルにきっと驚くはずだ。

ストリングスとピアノによるサウンドと3人の歌声が深い余韻を残すこのアルバム。Kalafinaのことを知らない人でも親しみやすい内容となっており、もしかするとクリスマス・アルバムとして一般的に定着するかもしれない。冬になるとこのアルバムの曲がラジオや街中から流れるようになれば、それはさぞかし素敵なことだろう。

クリスマスのライヴで披露されながらも、今作に収録されていないストリングス・アレンジによる楽曲はまだまだ多い。ぜひとも第2弾のリリースを期待したい。

 

Kalafina「Winter Acoustic “Kalafina with Strings”」SECL-2000Kalafina
Winter Acoustic “Kalafina with Strings”

Sony Music Labels Inc.
2016.11.16

FLAC 96kHz/24bit

ハイレゾはこちら

e-onkyo music
mora

 収録曲

 1.from heaven above
   編曲:梶浦由記

 2.In dulci jubilo
   編曲:石川洋光

 3.fairytale~with strings ver.~
   作詞・作曲:梶浦由記 編曲:梶浦由記・石川洋光

 4.sprinter~with strings ver.~
   作詞・作曲:梶浦由記 編曲:櫻田泰啓・石川洋光

 5.Jingle Bell
   編曲:石川洋光

 6.we wish you a merry Christmas
   編曲:石川洋光

 7.君の銀の庭~with strings ver.~
   作詞・作曲:梶浦由記 編曲:梶浦由記・石川洋光

 8.ring your bell~with strings ver.~
   作詞・作曲:梶浦由記 編曲:櫻田泰啓・石川洋光

 9.もろびとこぞりて
   編曲:石川洋光

10.have yourself a merry little Christmas
   編曲:梶浦由記・石川洋光

11.dolce~with strings ver.~
   作詞・作曲:梶浦由記 編曲:梶浦由記・石川洋光

12.アレルヤ~piano ver.~
   作詞・作曲:梶浦由記 編曲:梶浦由記・櫻田泰啓

13.やさしいうた
   作詞・作曲:梶浦由記 編曲:梶浦由記・石川洋光