花澤香菜 4thアルバム『Opportunity』トータルサウンドプロデューサー・北川勝利 インタビュー

lis_kitagawa_interview_0215

花澤香菜の4枚目となるアルバム『Opportunity』。今作にはミト (クラムボン)、沖井礼二 (TWEEDEES)、宮川 弾、矢野博康らおなじみの作家陣に加えて、シンプリー・レッドのミック・ハックネル、kz (livetune)、片寄明人、Spangle call Lilli lineも参加。また空気公団プロデュースによる「透明な女の子」、秦 基博作曲による「ざらざら」のシングルも収録した豪華な内容となっている。

さて今回はデビュー曲「星空☆ディスティネーション」を始め多くの楽曲を花澤香菜に提供し、また彼女のアルバムのトータルサウンドプロデューサーを務めているROUND TABLEの北川勝利に、「UKサウンド」をコンセプトとする『Opportunity』の音楽面について詳しく話を聞いてみた。

『リスアニ!Vol.28』には私が担当した花澤香菜のインタビューが掲載されている。リスアニ!本誌のアーティスト・インタビューとこちらのプロデューサー・インタビューを併せてご覧いただけると、今作への理解がさらに深まるだろう。

Interview & Text By 冨田明宏
At Aniplex

Opportunity_花澤香菜アー写

■花澤香菜『Opportunity』レビューはこちら

アルバム制作のスタートとして「UKサウンド」というキーワードがあったのは、今考えても良かったなぁって

───今作『Opportunity』は2年ぶりのアルバムとなります。先に花澤さんにお話をお伺いしたのですが、2年間の活動のいろんなことがこのアルバムに収められている、と語ってらした姿が印象的でした。

lisres_kitagawa_photo3北川勝利 前作『Blue Avenue』のライヴ・ツアーの後に『かなめぐり』というアコースティック編成で全国を巡るライヴがありまして。アコースティック・ライヴというとリリースイベントなんかでもよくやっていて、大体シングルの2、3曲を演奏して終了なんですが、こちらは普通のライヴと同じくらい、10何曲も演奏して、2時間弱ぐらいのボリュームのものを、月に2、3本というペースで行なっていました。あの頃は、香菜ちゃんの中でライヴをすごくやりたいって欲求があったのかもしれません。『かなめぐり』では朗読にもチャレンジしていたし、とにかく意欲的でしたね。側で見ていてもライヴを通じて自分にかえってくるものが大きかったらしく、それを次のアルバムに反映できるといいねと話していました。

───その経験にプラスしてサウンドにも変化が表われていますね。前作『Blue Avenue』では「ニューヨーク」をテーマにアルバムが展開されていました。そして、今作では「イギリス」をテーマに掲げて制作に入られたそうですね。

北川 「イギリス」「UKサウンド」というテーマは『Blue Avenue』の制作の後半ぐらいから出てきました。スタッフの一部からこのキーワードが出てきて、そこへと向かっていくんだろうなっていうのがわりと早い時点からありましたね。

───花澤さんの作品に関わっているミュージシャンやクリエイターの皆さんも、どちらかというとUKサウンドに影響を受けた方が多いのではないのでしょうか?

北川 そうですね。そっちの方が得意だったりするんじゃないかと。みんな青春時代にやはり影響を受けているんですよね。冨田さんもそうですよね?

───はい、UKロック好きをこじらして留学までしてしまいました(苦笑)。

北川 僕もやっぱり大好きだから(笑)。アルバム制作のスタートとして「UKサウンド」というキーワードがあったのは、今考えても良かったなぁって。

───「UKサウンド」というテーマを掲げても、そのサウンド・イメージは人によって、また世代によって受け取り方が異なると思いますが、北川さん自身はどのようなイメージをお持ちですか?

北川 まず僕がリアルタイムで聴いていた90年代のギターポップやネオアコなどで、僕にとっては一番イメージしやすいものですね。そこから遡ってビートルズやストーンズとか、60年代のいわゆる「スウィンギング・ロンドン」・・・つまりイギリスから世界へと文化を発信していた黄金時代のサウンドとか。音楽だけじゃなくて文化の象徴として捉えると、90年代のマンチェスター・ムーヴメントもこの流れを組んだものじゃないですか。確かにただ一口に「UKサウンド」と言っても幅が広いですから、みんなの好きな「ブリティッシュ・ロック」や「UKサウンド」って何だろう?と考えながら準備を始めました。

───確かにUK産の音楽はジャンルも多種多様ですし、またひとつのジャンルの中でもかなり奥行きがありますよね。

北川 ですよね。参加した皆さんもそれぞれにUK産の音楽に思い入れのある方たちばかりで。だから、好きだからこそ大変っていうのはありました。今回参加してもらうクリエイターのみんなにオファーをして、まず全員から返ってきた最初の返答が「好きだけど、好きだから難しい」で(笑)。

───楽曲として表現するときに、花澤さんが歌われるものとして作り上げなければならないし、またこれまでの花澤さんがやってきたことを引き受けつつ、自分たちのルーツでもあるUKサウンドを提示しなくてはならない。考えてみると、サウンドのバランス、クリエイターとしての葛藤など、いろいろと難しいところもありますね。

北川 半分以上は今まで一緒に作ってきているメンバーなので、約束事として〈花澤香菜とその声ありき〉というのは理解してくれていました。とはいえ1枚目、2枚目、3枚目といろいろな曲が出てきている中で、自分たちなりのちょっとした変化球を狙いたい。それが今回の「UKサウンド」というコンセプトで表現されていったんです。

───「あなたはこの時代のあのバンドのようなUKサウンドのイメージで」などという割り振りは、北川さんが考えたんですか?

北川 作家陣にオーダーする前にスタッフの皆さんと「UKサウンドと言ってイメージするのってどんな感じ?」という話し合いをしたときに、「こういうのもあるよね・・・」なんて言いながらとにかくたくさん並べて。その中から各クリエイターと相性が良さそうなイメージを持っていって「こういうのとか、こういうのとか出てますけど、どうですか?」と相談しながら進めた人もいます。「あなたはこういう方向性が得意だと思うので、この方向性のUKサウンドでお願いします」というのもあったし、みなさんが上げてきてくれたデモがバラエティに富んだ内容になって、結果的に良かったですね。

lisres_kitagawa_photo5───アルバムを最初から最後まで聴いていくと、トータルとしてイメージが浮かんでくるような、大きな流れやドラマのようなものも感じます。ただ1曲目の「スウィンギング・ガール」と、ラストナンバーの「Blue Water」をアルバムから抜き出して比べてみると、サウンド的な飛距離は相当ありますよね。アルバムとしての統一感を保つために、どのようなバランスを考えて制作を進めていったのでしょうか?

北川 確かに1曲目とラストを比べると全然違いますよね(笑)。しかもアルバムってシングル曲も収録するし、書き下ろし曲とのバランスを取りつつ、アルバムとしての流れを作らなきゃいけない。だから途中で何段階も調節していくというか、「こういう曲が揃ってきたので、こんな曲もどうですか?」というのをやっていかないと、バラバラなままか、すごく一点に集中してしまうか。どちらかになりかねない。なので、出来上がってきた曲に対して「そのサウンドはもう出てしまったので、別のUKサウンドを聴かせてください」ってお願いした人もいます。

───UKサウンドの好みが被ってしまい、出来上がってきたサウンドの方向性が重なってしまったということですね。

北川 「ゴメン、ちょっと遅かったね」って(笑)。もちろん書き直し前提では全くないんですが、今までずっとやってきている人たちとのやり方というか、相談しやすさもあり、再度お願いすることもありました。向こうも「えー」なんて言いつつも、「じゃあこれはどう?」って、前とは違ったさらにすごいものを返してくれるんですよ。

そうですね。どうかしてるんですよ、このプロジェクト(笑)

───今作には花澤さんの作品には初参加となるアーティストの方も大勢いらっしゃいます。kzさんや、片寄明人さん、Spangle call Lilli lineなどの名前が並んでいますが、海外からはシンプリー・レッドのミック・ハックネルも参加していますね。

北川 “ミック・ハックネルが初参加”って説明、何かすごいよね(笑)。今回はテーマが「イギリス」なので、「イギリスのミュージシャンやバンドの方に参加してもらえたら……」というアイデアが最初からありまして。そしたらまさかの話がどんどんと進んで行って。お願いしたら「こんな感じでどう?」って、曲としては一番最初に上がってきて。「他のみんなも追いつかなくっちゃ!」って、それくらいにスムーズな作業でしたね。

───ミックがシンプリー・レッドのメンバーとのリハーサルのようなところで歌われているデモが送られてきたとお聞きしましたが?

北川 うん、ホントそのまんまで。ミック・ハックネル歌ってるし、メロディも本人のそのものだし。「すごいのやってきた!どーしよー!」って(笑)。もちろん香菜ちゃんとは歌うキーが違いますし、またそのメロディに日本語の歌詞を乗せなくてはならない。なので、この曲の歌詞はNONA REEVESの西寺郷太くんにお願いしました。こういう英語のメロディに日本語の歌詞を当てはめるのなら、彼しかいないかなって。だから曲と演奏は向こうのものですけど、うまくこちらのポップスへと翻訳ができましたね。

lisres_kitagawa_photo4───確かに歌詞が自然に当てはまっていますよね。それにしても、メンバーがシンプリー・レッドで、さらにプロデューサーのアンディ・ライトも加わってと、大変豪華ですね。

北川 ケンジ・ジャマー(鈴木賢司)もいるしね。もしかするとケンジ・ジャマーがいることで、こちらのことや制作の意図なんかも伝わりやすかったのかもしれないなあ。

───確かにそうですよね。こんなことってあるんだなぁ……なんて思いましたが、前作『Blue Avenue』でもスウィング・アウト・シスターのアンディ・コーネルが参加していましたし、前例もすでにありましたので(笑)。

北川 そうですね。どうかしてるんですよ、このプロジェクト(笑)。

デモを聴いた時から「これロンドン感じるよね? 1曲目これしかないよね?」って感じで

───「このプロジェクトはどうかしてる!」は花澤さん作品に関するインタビューの際のキーワードのようになりつつあります(笑)。さて、今回はlivetuneのkzさんが初参加されていて、その「スウィンギング・ガール」はアルバム1曲目に収められています。

北川 昔、彼がラジオをやっていたでしょ。そのゲストに出演してから交流がありまして。彼もずっと前から花澤さんに曲を書けたらいいなぁって、話をしてくれていたんですよ。そうしたら今回、タイミングが合ってお願いできて。上がってきたものを聴いてみたら、あのサウンドですからね(笑)。みんなビートルズはすごく好きだけど、ビートルズ的なものを作るのはちょっと躊躇しちゃう中、ストレートに中期ビートルズみたいなサウンドを提示してくれました。

───ダンス・ミュージックをメインに活動している“livetune”のイメージが強い人にとっては、印象がかなり異なるので驚かれるかもしれませんね。

北川 いわゆる“kzスタイル”とされているものが彼のすべてではなくて、違ったサウンドへトライしたいという思いは元々あったんじゃないかな。もちろんただただチャレンジしましたっていうものじゃなく、今回のアルバムに、花澤プロジェクトに的確に打ち返してきてくれましたね。面白いなぁって。「ああ、四つ打ちじゃないんだ!」って思って(笑)。

───まさに「スウィンギン」な感じです。意外性のある人選・プラス、意外性のあるサウンドかもしれません。

北川 思いの外うまくはまってくれたと思います。こちらの予想以上にアルバムのコンセプトを汲んでくれて。デモを聴いた時から「これロンドン感じるよね? 1曲目これしかないよね?」って感じで。そうしたら作詞の岩里祐穂さんからも「スウィンギング・ガール」って歌詞が送られてきて、スタッフ全員で「やっぱりそうだよね~」って(笑)。そんなに打ち合わせもしてないのに、トントン拍子でアルバムの1曲目に落ち着きました。

───サウンドや穏やかなメロディとは裏腹に、歌詞がちょっと過激で。力強く革命を宣言していたりとか。

北川 宣言してますよね。岩里さんも香菜ちゃんに「宣言させてみた」って言ってました(笑)。「イギリス」ってテーマがある中で、岩里さんも何かチャレンジしたい、させたいっていう思いがあったのかなって。

ポップスではあるけれど、ちょっと尖っていて欲しいんです。そういうギターロックみたいなサウンドが今作には必要だなと思ってて。

───「チャレンジ」というのも今回のアルバムに関わるキーワードのように思えます。その大胆な試みというか、今作にはSpangle call Lilli lineが参加しています。僕も大好きなバンドなんですが、この組み合わせはちょっと驚きでした。でも楽曲を聴いてみると花澤さんの声と相性が抜群で。

lisres_kitagawa_photo6北川 ですよね。実は『25』の時にお願いしたかったんですが、タイミングが合わなくて。あと前作はニューヨークだったので、ちょっと方向性が合わないかもしれないなと。今作はUKがテーマで、さらにギター・サウンドの楽曲ならばということで、前から名前が挙がっていたSpangle call Lilli lineにようやくお願いできました。面白いのが、彼らはデモとかは作らなくって、曲を作る時はメンバー3人とライヴのサポートをしているメンバーとでスタジオに入って、ジャム・セッション的なものを行なうそうなんですよ。そこでいろいろと録音した音源をヴォーカルの大坪(加奈)さんが持ち帰って、メロディや歌詞やコーラスとかを付けていくって話していて。バンドで演奏している時には考えてなかったところにメロディが付いたり、編集をしている際にも曲の構成がどんどん変わったりとかするらしくて、こっちは「ああ……そうなんですかぁ」みたいな感じで。あまりにも異例だったから、ひたすら「このバンドすごいなぁ」って思ってましたね。

───ある意味、実にSpangleらしいというか、納得してしまう制作方法でもありますね。とても構築的ではあるのですが、偶然じゃなければ生まれないようなフレーズが特徴的でもあるので。

北川 リーダーの藤枝くんとずっとやりとりしていて、向こうも「もっとポップな方に寄せた方がいいですか?」って言ってくれたんだけど、Spangleらしさとか、Spangleならではのサウンドが今回欲しかったので、「いつもやっているスタイルそのままでお願いします」と伝えて、進めてもらいました。

───型にぐっと押し込めるといった感じではなく、元々Spangle call Lilli lineが持っているものを花澤さんが歌うイメージで広げてほしいと。

北川 うん。やっぱり、あくまでも彼らのバンド・サウンドに花澤香菜のヴォーカルが乗っかっているようなイメージかなぁ。ポップスではあるけれど、ちょっと尖っていて欲しいんです。そういうギターロックみたいなサウンドが今作には必要だなと思ってて。

───そして、この曲はsalon musicの吉田 仁さんがミックスを担当されてます。吉田 仁さんはレコーディングやプロデュースなどでSpangle call Lilli lineの作品に深く関わっていますね。

北川 吉田 仁さんはカジ(ヒデキ)くんが手がけた曲(「ライブラリーで恋をして!」「パパ、アイ・ラブ・ユー!!」)でも参加してもらっています。Spangleからの希望もあっての参加なんですが、非常に調和のとれたサウンドに仕上がりましたね。

───ミックスによって音のバランスや印象ってガラリと変わりますよね。特にこの曲では重層的な音の鳴りとそのバランスがとても重要になるかと思います。楽器のアンサンブルなどはまさにポストロック的なミニマルな音の重なりと響きですね。

北川 そうですね。音数はそれほど多くなくて、空間性を感じるけど、アナログシンセだったりギターのフレーズだったり、その組み立て方ってメンバーのイメージがエンジニアの方にうまく伝わってないと、違うものになっちゃう。だけど今回は吉田さんもいたので、何も心配せず作業が進みましたね。

「できればGREAT3のオリジナル・メンバーでレコーディングとかいいですよね~」なんて話していたら、なんと実現しました

───続いては、片寄明人さん作曲の「FLOWER MARKET」です。高桑 圭さん、白根賢一さんもいらっしゃるので、恐ろしいことにまんまGREAT3ですね(笑)。

北川 そうなんですよねー。12年振りって言ってたかなあ。以前から機会があれば片寄さんにお願いしたいと思って、今回お話ししたところ「是非やりたいです」と返事をいただいて。レコーディングについて話し合っていた時に「メンバーいろいろ呼べるけどどうする?」なんて言われて、「できればGREAT3のオリジナル・メンバーでレコーディングとかいいですよね~」なんて話していたら、なんと実現しました。レコーディングは大久保のフリーダムスタジオで行なったんですけど、GREAT3がデビューしてからずっとそこのスタジオを使っていて、レコーディングしないでゲームとかばかりやっていたとか(笑)、そんな話も聞けました。そのフリーダムスタジオが年末(2016年)に閉鎖することになって、「じゃあ、GREAT3のオリジナル・メンバーで録音しようか」って話になって。

───ギターではこれまた驚き、會田茂一さんも参加しているんですよね。

北川 そうそう。アイゴン(會田茂一)もギターで参加してくれて。それにGREAT3やFOEのエンジニアをされていた南石聡巳さんも加わって、ちょっと同窓会的な雰囲気もありましたね。スケジュールはギリギリだったんだけど、何とかスタジオを押さえられて。レコーディングは、お昼前に集合して2時、3時ぐらいには終了してました。すごく早かったんです。その後は当時のことを知っている方が続々といらして、差し入れとか記念撮影とかしたりしていて。あと、誰それが録音のときあんなことやって大変だったとか、当時のエピソードをいろいろ聞かせてくれて。レコーディング自体はあっという間だったけど、そういう話を聞かせてもらったのもすごく楽しかったです。このメンバーが集合して演奏している姿が見られたのも僕的に嬉しかった。金澤ダイスケくん(フジファブリック)のキーボードも良かったなあ。香菜ちゃんフジファブリック好きだから、「言ってくれたらスケジュール合わせたのに!」って後で言われました(笑)。

───オルガンの音色等々、サイケデリックな感じがむちゃくちゃカッコいい曲ですよね。

北川 片寄さんはポップスの引き出しをすごく持っているから、「こういうのもどう?」っていろいろと提案してくれるんですね。その中からいくつかこちらのリクエストとしてご相談して、ああいうちょっと音響的な要素も入った、最近の片寄さんのスタイルにも近いポップス・サウンドが完成しました。

───この曲では、岩里祐穂さんが歌詞に花の名前をいろいろと盛り込んでいますね。

北川 岩里さんが「イギリスっていったらやっぱりイングリッシュ・ガーデンよ」って仰っていて、花の名前をいっぱい入れてくれました。岩里さん旅行するのがお好きなので、そのイギリスでご覧になった庭園のことか、「ロンドンに行くんだったらどこそこのなになにを見るといいわよ」って、歌録りのとき、香菜ちゃんに教えていて。僕はそれほど興味がなかったのであんまり覚えてないんですけど(笑)。

花澤香菜Opportunity_初回盤JK花澤香菜『Opportunity』【初回生産限定盤】ジャケット

やはりUKサウンドならマンチェスター的な音楽を何かやりたいと思っていて

───(笑)。では次からは、北川さんが作曲された曲についていろいろとお話をお伺いしたいと思います。まずは「Marmalade Jam」です。この曲はいろいろと元ネタが個人的に分かりやすくて。北川さんらしいメロディー・ラインがしっかりとありつつ、リズムにストーン・ローゼズの「Fools Gold」、コーラスにローリング・ストーンズ「悪魔を憐れむ歌」からの影響が強く感じられますね。ストーン繋がりと言いますか(笑)。

北川 そうね。まさに、そのまんまです(笑)。

───このドラム、打ち込みなんですね。

北川 そう。デモではブレイクビーツにいろいろ重ねて作っていって、レコーディングの際に生で録ろうかどうしようか考えたときに、元の曲もどっかからサンプリングしたような特殊な作り方なんで、これでいいかなって。でも元ネタのビートに合わせていろいろと作っていたんで、いざレコーディング用に作り直していたら、そっちの調整もまあ大変で。いらん余計な目にあいましたね(笑)。

────サウンドとしては、80年代後半から90年代前半に流行したマンチェスター発のムーヴメント、いわゆる“マッドチェスター”な感じですね。

北川 やはりUKサウンドならマンチェスター的な音楽を何かやりたいと思っていて。それに今までちょっとロッキンな曲で香菜ちゃんが歌っているのって少ないなと思って、今回そういうのがあってもいいんじゃないかと。アルバム制作の後半ぐらいで、他の曲とかのバランスや流れとかを考えたときに、このサウンドが思い浮かびましたね。マンチェスターのバンドもいろいろあって、まあストーン・ローゼズも好きな曲がいろいろあるんですけど。

───2ndアルバムになるとグルーヴ感はそのままですが、ハードロック寄りのサウンドになってしまいますけど(笑)。

北川 もうあれはレッド・ツェッペリンですよね(笑)。

───(笑)。でもこのコーラスがまたカッコよくて、ビートとの融合がまた絶妙ですね。

lisres_kitagawa_photo1北川 まずビートがあって、そこにちょっと7thのコードを合わせて、ギターとかも「Fools Gold」にどれだけ近づけようかってみたいなことをやっていて。そしたらイントロに「“woo woos”ってコーラス聴こえてくるよね?」って話になって。じゃあ「いれよ、いれよ!」って(笑)。

───ここはすごいツボでした。見事にハマってますよね。

北川 でも「ローゼズで「Fools Gold」やりたいですけど」って言ったら、みんなに「えーっ!?」って。一体どういう感じになるのって?

───確かに花澤さんが歌う「Fools Gold」って、イメージしづらいですね。

北川 まずチャレンジさせてくださいと伝えて、出来上がったときにみんな「ああ、なるほど!」って感じなりました。確かに「Fools Gold」って長いし、歌ってなかったり、メロディが無かったりするじゃないですか。なので僕がイメージしている部分がなかなか伝わらなくて。最初からやりたいって言っていたんですけど、みんなあんまり乗り気じゃなくて「ふーん」みたいな感じで(一同笑)。

───多分、ローゼズの中でももっとポップな「She Bangs The Drums」とか「Elephant Stone」の方がイメージしやすいかもしれないですよね。そちらとは違って、この曲はもっとグルーヴが主体となっていますから。

北川 まあ、そうですよね(笑)。

───次は「雲に歌えば」です。花澤さんにこの曲についてお話をお伺いしたとき、イギリスに行ったこともあって、ロンドンの曇り空を非常にイメージしやすかったと仰ってました。この曲は吐息を使ったサンプリングですとか、漂うNEW WAVE感とか、本当に素晴らしいですね。

北川 これも実はワンポイントの元ネタ・リクエストをされていて。これもリズム・スタートで、そのリズムをそのまま使ってやってたんですよ。楽器の構成とかいろいろ変わったので、音の響きとかは違うんですけどね。まあ、そこに辿り着いちゃう人だと「あー、はいはい!」「まんまだね」って(笑)。元ネタの曲にもアーティストの吐息が入っていて、じゃあ香菜ちゃんの声でやってみたいよねって。簡単な打ち込みとそのブレスとに合わせたリズムにしようと。アルバムを作っている中で、短くてポップで弾けている曲を入れたいなと思って、作ったのがこの曲です。いろんな曲が揃ってきたときに、「Marmalade Jam」とかこの曲や、「brilliant」だったりでバランスを取っていくみたいな。

───ちなみに元ネタはなんですか?

北川 ザ・キュアーですね。

───なるほど!「Close To Me」ですね。言われて納得しました。では次に「brilliant」についてお伺いします。これはどういった着想から?

北川 これもネタがありまして(笑)。

───それが花澤さんのアルバムの楽しいところでもあります(笑)。

北川 今回はわりかしストレートなんですよね。フェアーグラウンド・アトラクションの「Perfect」という曲がありまして(笑)。

───まあ、そうですよね(笑)。でもこれは皆さんお聴きになって「なるほど!」と思うのではないかと。でも「Perfect」よりも、ジャズ的なグルーヴが強いかなあと。

北川 そうかもしれませんね。ドラムがSOIL&”PIMP”SESSIONSのみどりんで。ROUND TABLEでもずっと一緒に叩いてもらっていたこともあって、今回お願いしようとかなと。確かに彼の味みたいなのが出ているかもしれないですね。

───フェアーグラウンド・アトラクションってもっとフォーキーな感じやカントリー、ケイジャン感がありますけど、「brilliant」はグルーヴ感がきっちりと出ているように感じます。そういったリズム感の違いも表われているのかもしれませんね。では9曲目の「Opportunity」です。この曲はアルバムのタイトル曲ともなっている短い曲です。これは制作が中盤を過ぎた頃に完成したとお聞きしてますが。

北川 そうですね。アルバム・タイトルが決まって、曲順とかを考えていったときにシングル曲「ざらざら」っていうゆったりとしたミディアムの曲につながるように、またアルバムを象徴するようなものがブリッジとしてこの位置にあったらいいかなと思って提案しました。他の曲をレコーディングしているときに思いついて、すぐ録って、聴いてもらったら周りのスタッフにも「いいね」って言ってもらえて。それですんなりと収録が決まりました。

───花澤さんからは、このあたりぐらいから、アルバムの全体像みたいなものがなんとなくみんなの中に共有されてきたとお伺いしました。この曲があることによって切り替えと言いますか、アルバム曲とシングル曲がスムーズに、自然な流れでつながりますよね。

北川 そうなんですよね。アルバム曲がいろいろと集まりつつ、その中でシングル曲との組み合わせを考えながら作業を進めなくてはならないので、毎回いろいろと苦労しますけど(笑)。

───確かにバランスって難しいですよね。でも空気公団の「透明な女の子」もそうですが、アルバムの中でのシングルのハマり具合の良さといったものもしっかりと感じました。

北川 だから全部が分かりやすくUKサウンドじゃなくてもよくて、アルバムを通して聴いたときに、いろいろなイギリスを感じてもらえるものが並んでいればと思っていました。始めに仰ってくれたように、1曲目と最後の曲を取り出すと、すごい飛距離があるけど、通して聴くと流れがつながっている。トータル・アルバムとしての雰囲気は大事にしたいと考えながら進めましたね。

いろいろな意味で乙女度が高すぎるし、すごくややこしいんです(笑)

───アルバムを聴いていただくと北川さんの仰られていることが充分に伝わってくるかと思います。では次の曲です。宮川 弾さんの「滞空時間」。

北川 うん!

───宮川さんのヒューマン・リーグ的サウンドというか、80’sテクノポップ感を出された曲はとても新鮮でした。

北川 他の人はわりとストレートにイギリスらしさを聴かせてくれるんだけど、弾くんは不思議で、“宮川 弾フィルター”を通したものを提出してくれましたね。お願いするときに「こういうバンドで、こんなサウンドで」っていろいろとイメージを伝えて、「うーん、わかったー」と言ってくれて。そして、出来上がってきたものはストレートにそれじゃなくて、でもいろんなものが詰まっているし、アレンジも天才的ですごくいいんですよ。あと弾くんの歌詞の〈乙女さ〉って、もうこれ以上ないなぁって。素晴らしいなぁって毎回思っちゃう。ただ今回もなんだけど、歌詞の中にわからない言葉がいくつか出てきて、それについてはあんまり説明してくれないんだよね。それで、歌録りが終わってご飯食べに行ったりすると、ボソボソとちょっとだけ謎解きみたいに言ってくれて。毎回、香菜ちゃんと僕が「それ歌録る前に言ってよ!」って(一同笑)。

lisres_kitagawa_photo9歌詞の文字校をチェックしているとき、そういえば間奏でもメッセージがどうのこうの言ってたのを思い出して。あれ何のことだろうと思っていて。聴き返してみたら、間奏に入っている音が何かのメッセージだったのかと初めてわかって。モールス信号表みたいのをネットで調べて「ああ、そうなんだ!」て。言えばいいのにね。そういうの言わないんですよ。でも全く言わないんじゃなくて、ちょっと匂わして、気づいてほしいけど「気づいた?気づいた?」みたいのは絶対言ってこないという……いろいろな意味で乙女度が高すぎるし、すごくややこしいんです(笑)。

───面白いですね(笑)。歌詞の世界観はかなり独特ですよね。

北川 すごく面白いんです(笑)。

すごくうれしそうでしたよ、沖井くん。「サイケだねー」って(笑)

───“同心円”とか“サテライト”とか、言葉のチョイスも宮川 弾による過去の花澤ワールドがつながっていると言いますか。さすがだなあと思いました。さてUKサウンドと言ったら、ということで沖井礼二さんの「カレイドスコープ」です。60年代から90年代ごろまでのUKロックへの愛が、歌詞も含めて前面に押し出されていますね。

北川 沖井くんも最初、好きすぎて迷いすぎて「何から手をつけていいかわからない」みたいな状態になっていましたね。それでいろいろチャレンジしていて。そこで僕は「一番好きで一番得意なものでやればいいと思うよ」って話をして、出来上がってきたのが60年代サイケ・ポップみたいな雰囲気があって。ベースラインはビートルズの「Taxman」とか、ああいう流れのサイケ・ポップの有名どころの上に、マンチェスターを通過したものが合体したみたいな。

───ネオサイケのさらにネオ、みたいな感じですね。

北川 アレンジもタイトルの「カレイドスコープ」そのものなんですけど、場面場面によって出てくる楽器もどんどん変わっていくので、エンジニアの人もすごく困ってました(笑)。

───確かにこれは把握するのが大変だと思いました。

北川 いろいろと目まぐるしすぎて、把握するのにまず困るみたいな(笑)。最終的にはそこの部分がキモだから。おかげさまで、ああいうポップなサウンドになりました。

───「Taxman」的なベースラインといえば、ザ・ジャムにも似たようなものがあったなあって思って。「Start!」とか。

北川 そうそうそう!!

───このベースラインにしろ、残響がかかったトランペットやコーラスの雰囲気とか、とても正統派なイギリスのサイケ・ロックな感じで。

北川 トランペットもディスティネーションズで吹いているFIRE HORNSの湯本淳希くんを呼んで録って。録った後に「やっぱり逆回転だよね」っていろいろ試していて。すごくうれしそうでしたよ、沖井くん。「サイケだねー」って(笑)。

───この歌詞にも“ダイアモンドを持ったルーシー”(ビートルズ「Lucy in the Sky with Diamonds」)や“石のようなバラ”(=ストーン・ローゼズ)というのがあったり、“産声”(=プライマル・スクリーム)や“太陽よりも高く”(プライマル・スクリーム「Higher Than the Sun」)ですとか、探せばまだまだありますが、沖井さんのUKロックへの愛がたっぷりと感じられます。

北川 みんなそういう愛情を曲に込めたいですよね、やっぱり。

花澤香菜Opportunity_通常盤JK花澤香菜『Opportunity』【通常盤・配信版】ジャケット

だから「どうかしてる!もうやめろよ!」って言いました(笑)

───そしてですね、最後にとっておいたんですけど。

北川 はい(笑)。あれですね。

───はい、ミトさんの「Blue Water」ですね。この曲は冒頭からもう10ccの「I’m Not in Love」が頭にイメージされます。

北川 そう、コーラスがね。

───あの分厚いコーラスというか、濃霧のように声に覆われるような雰囲気だったものが、だんだんと4つ打ちのレイヴ・ミュージック~EDM的なダンス・ナンバーに変化していく構成で。ご自身の声をここまで重ねた曲って、花澤さんの作品ではありませんでしたよね。しかも北川さんは、このレコーディングについて反対されていたと花澤さんからお聞きしたのですが。

北川 いやいや。だっておかしいんすよ!(笑)

───何がおかしいんですか?(笑)。

北川 だって、香菜ちゃんも忙しいじゃないですか。いや、忙しいからどうこうってわけじゃないけどね。結構スケジュール的にかつかつなのに、ミトくんから「メイン・ヴォーカル以外にコーラスだけで2日押さえたい」って言われて。「え?合計3日間?そんなに録るの?」みたいな。大丈夫なのかなあ?って思って。終わりが見えないままコーラスだけ「あー」って延々と歌うのって、結構きついじゃないですか?そういうのもあって。僕もレコーディングに立ち合いながら「え?まだやるの?もういいんじゃないのー」って言っていて(笑)。「そんなに入れなくてもいいんじゃないのかなぁー」っ(一同笑)。

───(笑)。すごいですよね。ある意味、ミトさんの偏執的な部分が出たなって。

北川 そうなんですよ!おかしいんですよ、あの人!

───ここでも「どうかしてる」ですね?

北川 マジで「どうかしてる」!(笑)。「I’m Not in Love」的な方向性はわかったけど、それと同じだけコーラス録れとは言ってないから!(笑)。なんだったら僕らも歌うしね。結局、100何十トラック録ったのかな?

───120~130と仰ってましたね、トータルで200超えたとかで。

北川 だから「どうかしてる!もうやめろよ!」って言いました(笑)。

───「どうかしてる!やめろよ!」って本当にスタジオでの会話ですか(笑)。確かに10ccの場合、他のメンバーも加えてあのコーラスですからね。

北川 そうなんですよ。「あっちはひとりじゃなくて何人かで歌ってだと思うよ」って言ったんですけどね……聞いてなかったのかな?(一同笑)

───実際、北川さんはこの「Blue Water」を聴かれてどのような印象を受けましたか?

北川 そうですね。最初から「I’m Not in Love」的なというのは聞いていたんですが、そのままだと全体的にふわーっと終わっちゃいそうな気がしたんで、ミトくんにプラスで何か加えてほしいとお願いして。そうしたらEDMになって帰ってきて。「ああ、なるほど。そうなんだー」と思って(笑)。

───こうきたかと?

北川 こうきたんだと思って。うれしそうに「こういうふうになったよー」って言ってきたんで、「お、おう……イイね!」って答えて(笑)。すごい曲ですよね。初めて聴いたとき、ラストはこの曲しかないよなあって思いました。

───曲が進むにつれて祝祭感、多幸感がどんどん上がっていくので、確かにラストしか置き場所がないかもですね。

北川 すごいよね、隅々まで「どうかしてる!」って(笑)。

───でもこれだけ花澤さんの声を重ねることって、ある種の“究極的フェチ”なところもあって。恐らくこれはファンの皆さんも心の何処かに抱いていた夢のような曲だったりするのかなあって思いまして。すごく贅沢な楽曲ですよね。

北川 これは贅沢すぎますね。おかげでこのアルバムを締めくくる、素晴らしい曲になりました。

───これをハイレゾで聴いたらさぞかしすごいだろうなって思いました。

北川 そうですよね。どうなっちゃうんだろう。スタジオですごく良い音で何種類か試して聴かせてもらったんですが、そのときもすごかったんですよ。どこもかしこも花澤だらけで。

───空間を花澤香菜の声が埋め尽くすこの曲。ミックスも難しかったのではないですか?

北川 いやー、もうイジメですよね(笑)。単純に機材的な面で言っても、トラック数が究極ですから。1台じゃ動かないから、それもあってミトくんが「どうしよう?」みたいに言っていて。「いやどうするのって、それだけ録ったのはあなたなのできちんとお願いしますね!」って(笑)。アレンジをしたミトくんも大変だったし、それをずーっと延々千本ノックみたいに百何十本歌わなくちゃならない香菜ちゃんも大変だし、録り続けて整理していくエンジニアさんも大変だし、それを引き継いで、まとなきゃいけない作業も大変。それを2ミックス(ステレオ)にまとめるために声をすべて生かす方法を探していくなんて、僕にはできないなあ、そういうことは(苦笑)。

───さて、花澤さんの作品として皆さん最良のものを作ろうと突き詰めた結果、最高のアルバム『Opportunity』が完成しました。トータルサウンドプロデューサーとして考える、このアルバムの楽しみ方とはどんなものでしょうか?

北川 まずはイギリスやUKサウンドというキーワードの中で生まれていった各楽曲の振り幅ですかね。それと、さっきのコーラスもそうですけど、今作では96kHz/32bitでほぼほぼ全部録っています。現場も大変そうでしたし、マック(PC)も大変そうで、チャレンジではあったんですけど、後のハイレゾ対応ということも見据えて良い音で録りましょうと。今回は規格でも統一することができました。CDではすぐにわからないのかもしれないですけど、やっぱり奥行きとか音の響きですとか、いろいろと違ってきているので、ハイレゾで聴いたらその差がさらによくわかると思います。

───音質的にも、ハイレゾの方が北川さんたちがトラックダウンやマスタリングで聴いていた音に近いものになるんじゃないかと思います。

北川 うん、本当にそうだと思います。

───このアルバムは聴いた後にすごい音楽体験をしたなあという感動が湧いてくる作品ですよね。読者のみなさんは、北川さんのインタビューをご覧になられた上で、またさらにいろいろな楽しみ方をしてもらえたらうれしいですね。

北川 そうですね。そうしてもらえると、僕としてもすごく嬉しいです!

 

1_kitagawa_photo_02

北川勝利
ソウル、JAZZ、ギター・ポップなどをルーツに持つROUND TABLEのVo、G、B。 1997年、高橋幸宏氏の主宰するコンシピオレコードよりミニ・アルバム「WORLD’S END」を発表。これまでのリリース枚数は、ミニ・アルバム、マキシ・シングル含め18枚。現在はリリース、ライブのほかに、楽曲提供、編曲、プロデュースの活動も活発に行なっている。坂本真綾、中島 愛、花澤香菜など人気声優への楽曲提供やプロデュースも多数手がけている。

●北川勝利が携わった作品のレビューはこちら

花澤香菜『Opportunity』レビューはこちら

 

花澤香菜 オフィシャルサイト

北川勝利 Twitter

ROUND TABLE Official Website

花澤香菜Opportunity_通常盤JK花澤香菜
Opportunity

Aniplex Inc.
2017.02.22

FLAC 96kHz/24bit

ハイレゾはこちら

e-onkyo music
mora