SawanoHiroyuki[nZk] / 2V-ALK

澤野弘之によるボーカル・プロジェクト“SawanoHiroyuki[nZk]”の2年ぶりとなるアルバムが完成。TVアニメ『Re:CREATORS』1stOPテーマ「gravityWall」と2ndOPテーマ「sh0ut」、『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』の主題歌「Into the sky」「Next 2 U -eUC-」、Aimerが歌う『甲鉄城のカバネリ 総集編』EDテーマ「ninelie <cry-v>」など全17曲を収録。

 

『機動戦士ガンダムUC』『青の祓魔師』『進撃の巨人』の音楽を手がける作曲家・澤野弘之は、劇伴ならびに作品の主題歌や挿入歌など、ボーカル曲の制作も盛んに行なっている。Aimerが歌唱した『機動戦士ガンダムUC』のEDテーマ「RE:I AM」「StarRingChild」は、その代表として挙げることができるだろう。

2014年にはボーカル曲のためのプロジェクト“SawanoHiroyuki[nZk](サワノヒロユキヌジーク)”を始動。Aimerとのコラボレーション・アルバム、SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer『UnChild』を皮切りに、TVアニメ『アルドノア・ゼロ』の主題歌「A/Z」「&Z」、TVアニメ『終わりのセラフ』の主題歌「X.U. | scaPEGoat」をリリース。2015年9月にはこれらシングル曲やオリジナル曲を収めた1stアルバム『o1』を発表した。その後もプロジェクトによるライブも開催しながら、配信を含む4枚のシングルをリリース。そして、『o1』から2年ぶりとなるアルバム『2V-ALK(ウォーク)』が完成した。

TVアニメ『Re:CREATORS』1stOPテーマ「gravityWall」と2ndOPテーマ「sh0ut」、『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』の主題歌「Into the sky」「Next 2 U -eUC-」、Aimerが歌う『甲鉄城のカバネリ 総集編』EDテーマ「ninelie <cry-v>」、配信でリリースされたゲームアプリ『ヴァルハイトライジング』メインテーマ「CRYst-Alise」などのシングル曲や書き下ろし曲などを収録。前作同様、アルバムは1曲目とラストのみインストで構成され、ボーカル曲への導入からその終わりへと、全体の流れを意識させる構成となっている。そのインスト曲には劇伴作家である澤野の意匠といったものも感じられ、「劇伴作家によるボーカル・プロジェクト」というコンセプトをさりげなく提示しているようでもある。

今作『2V-ALK』にはAimerやmizuki、Gemie、Yoshらボーカリストが『o1』に引き続き参加。またTielle、naNamiの名前もあらたに加わっている。ダイナミックかつ叙情的な歌声を特徴とするボーカリスト・Tielle(チエル)は、2015年に開催された澤野弘之のボーカル・オーディションにて抜擢され、2016年6月にリリースされたシングル「Into the Sky」で、SawanoHiroyuki[nZk]に初参加。その後、配信シングル「CRYst-Alise」を経て、『Re:CREATORS』の主題歌「gravityWall」「sh0ut」では、Gemieとともにヴォーカルを担当している。今作にはこれらの楽曲と、SEGA『BORDER BREAK』のOPテーマ「Amazing Trees」、書き下ろし曲「VV-ALK」を収録。めざましい活躍をみせる新人ボーカリストである。

『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』EDテーマ「Next 2 U -eUC-」のボーカルとして起用されたnaNamiは、“ななみ”の名前で活動をしているシンガーソングライター。もともと澤野弘之の大ファンだったというnaNamiだが、『ガンダムUC』のライブイベント「RE: Unchild」に出演した際には、自身のデビュー前の2014年に開催されたライブイベント「Unchild」へ、バイト代を貯めて地元・大分よりひとりで観に来ていたというエピソードを披露。また2016年にリリースされた彼女の2ndフルアルバム『Light in the Darkness』には、アルバム用にアレンジした「Next 2 U」を収録している。「Next 2 U -eUC-」は『2V-ALK』の後半、12曲目に収録。清々しいギターの音色としなやかな歌声が響き渡る。

アルバムにはシングル曲に加えて、趣向を凝らした様々な楽曲を収録。アッパーで昂揚感のあるEDMサウンドに包まれる「Club Ki3ε」は、ヨーロッパのフェスや大箱のクラブでかかっていそうな、開放的なイメージがある。全編英語詞による曲で、ボーカルは英語・フィリピンのセブアノ語・日本語と3カ国語に堪能なGemieが担当している。

海外に繋がっているような感覚は、同じくGemieがボーカルを務める「HERE I AM <2v-alk_v>」にも感じられる。この曲はTVアニメ『Re:CREATORS』に登場する魔法少女・煌樹まみかのテーマとして作られたもので、同作のサウンドトラックにも収録。ファンシーで愛らしいサウンドによる「魔法少女のテーマ」といったものとは異なり、こちらはティーンエイジャー向けの海外ドラマで流れていそうなガーリーなデジポップという、澤野弘之らしいひねりの効いた楽曲だ。今回はほぼ英語詞による原曲に日本語を少し加えたアルバム・ヴァージョンとして収録。マイナーコードを多く使用する澤野の楽曲の中でも、ひときわ明るいポップなサウンドに仕上がっている。

「HERE I AM <2v-alk_v>」のように、アルバム・ヴァージョンとして収録されている曲が「mio MARE <2v-alk_v>」。澤野弘之が音楽を担当した2015年のNHK連続テレビ小説『まれ』の挿入歌である。『o1』でも澤野が手がけたドラマ『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』の挿入歌「motherhood ~me & my mom~ <Vocal ver.>」のアレンジを変えて、「Saving Us」として収録しており、今回の「mio MARE <2v-alk_v>」は、[nZk]プロジェクトによる〈TVドラマ挿入歌・リアレンジ・シリーズ〉第2弾と言ったところだろうか。アニメ以外のボーカル曲を知ることができる好選曲だ。

「mio MARE <2v-alk_v>」は、澤野の楽曲では「Rise Above」やTVアニメ『終わりのセラフ』EDテーマ「scaPEGoat」などに参加している、Survive Said The ProphetのYoshがボーカルを担当。なお今年8月にリリースされたSurvive Said The Prophetのアルバム『WABI SABI』に収録されている「Listening」には、Tielleがゲスト・ボーカルとしてフィーチャーされており、澤野弘之の楽曲が結んだ縁を感じる。激しさとエモさを交えた強い声の存在感があるYoshだが、今回は楽曲の雰囲気に沿った爽やかなボーカルを聴かせてくれる。同じくYoshがボーカルを務める「rabBIThole」(『青の祓魔師 オリジナル・サウンドトラック I』に収録されている「My☆」が原曲)は躍動感が増しており、こちらもまた爽快である。

「HERE I AM <2v-alk_v>」「mio MARE <2v-alk_v>」のほか、原曲とはアレンジが異なっている曲が「ninelie <cry-v>」。TVアニメ『甲鉄城のカバネリ』のEDテーマ「ninelie」にあらたなアレンジを施し、『甲鉄城のカバネリ 総集編』のEDテーマとして使用。シングル「e of s EP」に収録され、2016年12月30日に配信された。SawanoHiroyuki[nZk]バージョンとなるこの「ninelie <cry-v>」は、アーティスト表記も原曲の“Aimer with chelly”から、“SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer”へと変わっている。イントロからストリングスやボーカルアレンジを加えたり、ビートが入ってくる箇所が早まっていたりと、世界観を重ねつつも原曲とはまた違った雰囲気を味わえる。

なお今作にはボーナストラックとして「ëmot1on」を収録。澤野弘之のサウンドトラック・ベストアルバム『BEST OF SOUNDTRACK【emU】』と『o1』の同時発売を記念して行なわれた、“澤野弘之 全国CDショップディスプレイコンテスト”にて、最優秀店舗に贈られた書き下ろし曲で、今回初収録となる。ボーカルはJazztronikへの客演からミュージカルまで、歌の活動を広げているシンガー・Eliana(エリアンナ)。澤野弘之の楽曲ではこの「ëmot1on」が初となるが、その後『甲鉄城のカバネリ ORIGINAL SOUNDTRACK』にも参加。ライブツアー「[nZk]004」にて「ëmot1on」と、同サントラに収録されている「icon」を披露している。生楽器の重厚な響きと伸びのある豊かな歌声でアルバムを締めくくる。

澤野弘之の楽曲といえば、壮大さやダイナミックな展開がまず思い浮かぶのだが、ハイレゾではそのイメージをさらに強くさせる豊富な情報量が感じられる。躍動的なビートが轟く「gravityWall」や、雄大に音空間を描く「e of s」、TielleとGemieによるツイン・ボーカルが力強く響く「sh0ut」、目の前が開けるように昂揚感が広がる「Into the sky」など、量感のあるサウンドが押し寄せてくるように楽曲の迫力を生み出している。もちろん「押し」だけでなく、「引き」もまた重要な要素。強いアタックから繊細なタッチまで、音の強弱の差異がきめ細かく記録されていることもあり、静から動への急激な展開、あるいは曲の合間に一瞬、静けさが訪れるといった、澤野弘之らしい緩急をつけた構成がさらに効果的に、またドラマチックに伝わってくる。

ジャケットには「Into the Sky EP」以降のアートワークを飾ったユニコーンやフェニックスなどの幻獣を再び登場させ、巨大なドラゴンとともに配している。9月27日にはサウンドプロデュースを手がけたDo As InfinityのNEWシングル「To Know You」がリリース、翌年2月にはワンマンライブ“SawanoHiroyuki[nZk] LIVE 「2V-ALK」”を開催と、ジャンルを横断しながら活動を続ける澤野弘之の勢いを表わしているようでもある。あるいは作曲家とボーカリストとの、才能の化学反応といったこのプロジェクトの本質を大胆なイメージで描き出しているのかもしれない。

 

SawanoHiroyuki[nZk]
2V-ALK

Sony Music Labels Inc.
2017.09.20

FLAC 96kHz/24bit

ハイレゾはこちら

e-onkyo music
mora

収録曲

 1.「1ntr0duct10n」

 2.「Amazing Trees」by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle
    ※ SEGA『BORDER BREAK』オープニングテーマ

 3.「gravityWall」by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle & Gemie
    ※TVアニメ「Re:CREATORS」1stオープニングテーマ

 4.「e of s」by SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki

 5.「Club Ki3ε」by SawanoHiroyuki[nZk]:Gemie

 6.「VV-ALK」by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle

 7.「rabBIThole」by SawanoHiroyuki[nZk]:Yosh

 8.「ninelie<cry-v>」by SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer
    ※「甲鉄城のカバネリ 総集編」エンディング・テーマ

 9.「sh0ut」by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle & Gemie
    ※TVアニメ「Re:CREATORS」2ndオープニングテーマ

10.「ViEW」by SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki

11.「mio MARE <2v-alk_v>」by SawanoHiroyuki[nZk]:Yosh

12.「CRYst-Alise」by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle
    ※ゲームアプリ『ヴァルハイトライジング』メインテーマ

13.「Next 2 U -eUC-」by SawanoHiroyuki[nZk]:naNami
    ※「機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096」エンディングテーマ

14.「HERE I AM <2v-alk_v>」by SawanoHiroyuki[nZk]:Gemie

15.「Into the sky」by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle
    ※「機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096」オープニングテーマ

16.「pian0s0l0」 

BONUS TRACK
17.「ëmot1on」