ChouCho / color of time

2018.01.11

シングル曲「明日の君さえいればいい。」「kaleidoscope」「Elemental World」「Asterism」などを収録した3rdアルバムが完成。作詞・作曲の多くを自身が手がけた意欲的な作品。

アニソンシンガー・ChouChoの約4年ぶりとなるオリジナル・アルバム。2016年にはメジャーデビュー5周年を記念したベストアルバム『ChouCho ColleCtion “bouquet”』をリリースしているが、それ以降にリリースされたシングル曲を収録。またカップリング曲や、PlayStation 4「ガールズ&パンツァー ドリームタンクマッチ」の主題歌「one and only」、書き下ろしの新曲などを収めた全13曲入りのアルバムとなる。なお1月10日には音楽配信サイト「mora」開催のハイレゾ試聴会が行われ、その後、moraにてアルバムの先行配信が開始されている(ほか配信サイトはCDの発売日と同じく1月17日より開始)。

●イベントのオフィシャル・レポートはこちら

●今作について詳しく語ったChouChoのインタビューはこちら

今作の大きな特徴としてChouChoが作曲した曲が多く収録していることが挙げられる。子供の頃、エレクトーン教室で作曲の課題をこなしたり、以前からDTMソフトを使用したりと、ほかのアニソンシンガーに比べて楽曲制作に近い位置にいるように思えるChouChoだが、これまで作曲は「secretgarden」や「bouquet」などアルバムのタイトル曲が主で、その数は必ずしも多くなかった。

そんな彼女が作曲により積極的に関わるようになったのは、2017年8月に公開された『劇場版Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い』の主題歌「kaleidoscope / 薄紅の月」のタイミング。この主題歌を担当することが決まった際に、自ら作曲を手がけたいと申し出たという。TVアニメの主題歌「starlog」「Asterism」や、挿入歌「kagami」「cuddle」など歌唱し、『プリズマ☆イリヤ』シリーズに所縁の深いChouCho。シリーズを通じてイリヤの成長を見守ってきた彼女だけに作品に対する愛情も深く、楽曲からはその想いが強く伝わってくる。

続く10月リリースのシングル「明日の君さえいればいい。」(TVアニメ『妹さえいればいい。』OP主題歌)でも、カップリング曲「アンダンテ」の作詞・作曲を担当。そして、このアルバムでは4曲自身の手で書き下ろしており、合わせて7曲、ChouChoが作曲を手がけた楽曲を収録している。

これらChouChoが作曲した楽曲では、キーボーディスト/音楽プロデューサーの村山☆潤がすべてのアレンジを担当。村山はChouChoのライブでバンマスを務めており、こういった相談しやすい環境もChouChoの意欲的な楽曲制作に影響を与えているのだろう。またふたりともUKロック好きということもあり、音楽的な相性のよさもうかがえる。

アルバムはChouChoの書き下ろし曲「color of time」からスタート。ミクロとマクロの視点の切り替えによる語り口も鮮やかなこの曲は、洗練されたアレンジによるストリングスを交えたミドルテンポのバンドサウンドでまとめており、これまでにも増して力強さを感じさせる。またエモーショナルな展開がボーカルの放つ開放感をさらに引き出している。アルバムを象徴するタイトル曲にふさわしい、壮大な仕上がりとなった。

『不思議の国のアリス』をモチーフにして描かれたグルーヴィーなナンバー「ワンダーテイル」や、現代音楽的なアプローチを加えた音響エレクトロニカ「アンダンテ」、荘厳なストリングスの旋律とメカニカルな電子音のリズムが融合した華麗なサウンドがそびえ立つ「アリア」など、ほかアルバム書き下ろし曲にも「時」をイメージさせる言葉が歌詞に盛り込まれており、アルバム全体をスムーズに繋ぐ役割を担っている。サウンドや世界観を含め、シングル曲と書き下ろし曲が違和感なく並んでいるのもポイントで、さながらトータルアルバムのような雰囲気が今作から感じられる。

「Asterism」に続いてAstroNoteSと再びタッグを組んだ昂揚感が漂うポップチューン「Elemental World」や、rionosが手がけた幽玄な音響ナンバー「セフィロトの木」Arte Refactの桑原 聖と酒井拓也による爽やかな青春ソング「one and only」など、自身の音楽性をさらに広げているChouChoだが、最新シングルとなる「明日の君さえいればいい。」では1stアルバムにも参加しているfhánaからyuxuki wagaを迎えている。この曲では疾走感のあるバンドサウンドが楽曲を牽引しており、キメを多用したエネルギッシュな演奏に惹きつけられる。また1番とは異なり、サビへとショートカットして進む2番など起伏に富んだ楽曲の後半に向かってたたみ掛ける構成や、そこに組み込まれた歌詞の展開も巧みである。“躓いても、倒れても”自分の力を信じて進む続ける、その背中を優しく押してくれる歌声が清々しく響く。

TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの石川智久が作曲を手がけたM-5「cuddle」は、TVアニメ『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!』のサウンドトラック『Elektronische Musik für ILLYA』にも収録されている。
●『Elektronische Musik für ILLYA』のレビューはこちら

●「Asterism」「セフィロトの木」のレビューはこちら

ハイレゾは今作の主軸となるバンドサウンドの躍動感が伝わってくる。「kaleidoscope」「明日の君さえいればいい。」はドラムが繰り出すスピード感溢れるビートがさらに快活で、「ワンダーテイル」はベースラインがますます際立つ。また一発録りによる「searchlight」ではバンドの一体感に加えて、臨場感のある演奏を味わうことができる。「アリア」は生楽器の響きが非常に豊かで、楽曲の世界観にいっそうの深みを与える。ダイナミックな「color of time」や、低域にボリュームがある「ワンダーテイル」と音空間の違いを聴き比べるのも面白い。今作では「時」をテーマにしていることもあり、時間の経過を印象づけるドラムのビートやあるいはピチカートが刻むリズム、また展開によって変わっていく音の鳴りや重なり具合などにも注目して聴いてみてほしい。

ボーカルはしなやかな姿を示し、同じ時間に異なるイメージを結びつける「color of time」の後半部や、いつもより低い声質で歌った「ワンダーテイル」、切なさをにじませる「薄紅の月」など、それぞれの楽曲で表れる豊かな表情を解像感が鮮やかに描写。「アリア」では幾重にもコーラスを重ねており、神秘的な声が織りなすタペストリーに包み込まれるかのよう。没入感がさらに強くなる仕上がりとなっている。

歌い手だけでなく、作曲者としての一面があらたに加わり、アーティスト性が深くなったことが、今作をさらに魅力的なものにしている。この次はどんな曲がChouChoから生まれてくるのか、実に興味深い。

ChouCho
color of time

Lantis
2018.01.10

FLAC・WAV 96kHz/24bit、WAV 96kHz/32bit
購入はこちら

e-onkyo music
groovers
mora

 収録曲

 1.color of time
   作詞・作曲:ChouCho 編曲:村山☆潤

 2.kaleidoscope(『劇場版Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い』主題歌)
   作詞・作曲:ChouCho 編曲:村山☆潤 ストリングスアレンジ:川本 新

 3.Elemental World(TVアニメ『政宗くんのリベンジ』ED主題歌)
   作詞:ChouCho 作曲・編曲:AstroNoteS

 4.ワンダーテイル
   作詞・作曲:ChouCho 編曲:村山☆潤

 5.cuddle(TVアニメ『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!』挿入歌)
   作詞:松井洋平 作曲・編曲:石川智久

 6.セフィロトの木
   作詞:ChouCho 作曲・編曲:rionos

 7.one and only(PS4『ガールズ&パンツァー ドリームタンクマッチ』主題歌)
   作詞:ChouCho 作曲:桑原 聖(Arte Refact) 編曲:酒井拓也(Arte Refact)

 8.Asterism(TVアニメ『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!』OP主題歌)
   作詞:ChouCho 作曲・編曲:AstroNoteS

 9.アンダンテ
   作詞・作曲:ChouCho 編曲:村山☆潤

10.薄紅の月(『劇場版Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い』主題歌)
   作詞・作曲:ChouCho 編曲:村山☆潤

11.明日の君さえいればいい。(TVアニメ『妹さえいればいい。』OP主題歌)
   作詞:松井洋平 作曲・編曲:yuxuki waga(fhána)

12.アリア
   作詞・作曲:ChouCho 編曲:村山☆潤

13.searchlight
   作詞・作曲:ChouCho 編曲:村山☆潤